新コロナウィルスによる若者の死

若い層でも油断は禁物。 *画像はイメージ画像(Source: pixabay.com/)です。

皆が新コロナウィルス禍に苦慮する中、昨日衝撃的なニュースが流れました。

これまで子供や若年層には軽い症状で済むはずのCovid-19であったのに今週の火曜に16歳の女子高生が急激な症状の悪化により入院先の病院で死亡しました。

症状が現れたわずか数日間の間の死亡、なんともやるせないです。

16才のリセエンヌ(女子高生)がコロナの犠牲に

ジュリーさんは16才のパリ南郊外にある高校に通う社交的で活発で皆を楽しませることが大好きな女の子でした。

先週の半ば過ぎごろ(というと、全国ロックダウンに入ったすぐ後です)、軽い咳が出るので咳用シロップと薬草を使って見たのですが良くならず、21日の土曜日には息苦しさを感じるように。また咳に痰が伴うようになります。

23日の月曜にかかりつけの町医者に行ったところ、呼吸困難を認めた医師はその場で救急車を呼び、彼女は地域(ロンジュモー:Longjumeau)の病院へ搬送されました。この病院では念の為コロナ感染検査を行ったのですが、彼女をパリ15区の小児科専門病院(ネッカー病院:l’hôpital Necker)へ転送しました。(このへんの対応がちょっと不思議なのです。なんで最初の病院でずっと扱わないでわざわざパリの病院に送ったのでしょうね。ただ、フランスでは16歳までは原則小児科で対応、ということもあり微妙なところです。)

最初の検査の結果はすぐには判明はしなかったのですが、転送されたパリの病院では容態は安定していたようで、医師も看護師も母親のサビーヌさんに「大したことはありません」と話していたということです。ただこの時、肺のスキャナー画像には小さな霞のような影が写っていたとのこと、一般病室ではなく蘇生室に移され治療を受けていました。母親には「心臓のところが痛い」と訴えていたのですが心配したせいと解釈されていたのではないでしょうか。この小児科病院でもコロナの検査をなんと2回も受けて陰性だということになっていました。

しかし、翌火曜日の夕刻、サビーヌさんが病院から帰ってきたところ、看護師から電話で最初の病院で受けた検査が陽性であったと伝えられたのです。そして、続く夜半には<容態が急変した、すぐ病院に来るように!>との連絡があり、サビーヌさんそして姉のマノンさんがやっと駆けつけた真夜中過ぎにはすでに死亡が確認された後であったとのこと、容態が変わって酸素吸入⇒人工呼吸器になったのですがそれも容態の急速な悪化には何の役にも立ちませんでした。

感染を避けるため遺体はすぐに棺に入れて蓋をされ、所持品はすべて焼却処分をされることになり遺族が持ち帰ることができたのは付けていた洗礼記念のネックレスとブレスレットのみということでした。

「突然娘を亡くし、それが現実のものとは考えられない」(サビーヌさん)。マノンさんは悲しみの中、「コロナウィルスは年寄りには死亡率の高い恐ろしい症状をもたらすが若い子は問題ないと言われてきてそれを信用していたけれど、若者が感染しても軽く済む、と思い込むのは止めてほしい、誰であってもこのウィルスの恐ろしさの犠牲になるのだから」
と、強く注意を呼びかけています。

とにかく人混みは避けること

亡くなったジュリーさんは健康には全く問題なく、高校卒業後はショービジネスの世界で活躍したいと定期的にパリのライブハウスや小ミュージック・ホールなどに出かけていたそうです。
Covid-19に限らず普通のインフルエンザのように空気感染するウィルスの場合、一番避けなければいけない場所はこのような密閉された狭い空間で不特定多数の人が集まる場所です。ロックダウンに入る前の3月上旬ごろにパリのこのような人が密集した空間のどこかで感染した気配が濃厚です。3月10日の記事で憂慮していたことが現実になってしまいました。

3月27日現在の患者数を示す地図。濃い赤の部分が一番患者数が多い地方です。フランス東部そしてパリ周辺がこれに当たります。

ここで先日の記事の中で触れたミュルーズを中心としたフランス東部のCovid-19重症患者の蔓延に戻って考えてみます。
これはあの2月の新興キリスト教カルト団体、La Porte Ouverte Chrétienne信者の集会に端を発しています。およそ2500人もの人々がフランス各地だけではなく、ドイツ、スイス、ベルギーなど近隣諸国からも集まり、2月17日から21日にかけてこの街の旧スーパーマーケットの建物を改築した教会に集ったのでした。

カルト宗教団体の集まりなどは普通は信者同士勝手にやればいい、程度のものですが、2020年の2月後半は、その少し前から北イタリアでの新コロナウィルスの感染拡散傾向が始まっていた頃です。この時期にこのような大人数の集会が1週間近くに渡って行われ、しかも信者同士での挨拶、ハグやキス、そして信徒の連帯を表して手をつなぐ行為が盛んに行われたのでした。これでは空気感染だけではなく接触感染の機会も多大であったことでしょう。2500人の中には最低でも1人または2人、あるいはもっと多数の無症状感染者がいたはずです。

この集会は事前予約が不要の集まりだったので参加者名簿などは無く、誰がどこにウィルスを持ち帰ったのかのトレースができない状態でその後発症した人たち(例:要介護高齢者施設勤務者、清掃業者、学校の先生、大手自動車会社勤務者、なんとストラスブールの病院の看護師まで)からしか辿れません。無症状で終始した人々の移動先で移されて発症した人がいても”感染経路不明”になってしまっています。感染者が続出した後、集会参加者への名乗りを広報で呼びかけたところ1000件以上の電話があったとのことですが、既にあちこちに移動したり人に会ったりして感染が広まっているはず、時既に遅しです。

集会が行われた会場
*色を変更しています。Photo: THIERRY GACHON / MAXPPP)

その結果、3月に入った頃このミュルーズで新コロナ陽性者→発症→重篤化のアウトブレイクが起こりました。現在もこの地方の重症患者の数は相変わらず多く、軍隊による臨時病院建設や患者の他地方の病院への輸送で対応せざるを得なくなっています。また地元に帰った参加者がウィルスを持ち帰ったフランス各地、そして海外のフランス領南米ギアナまでも感染者が出ています。

別の推論では集会の前に既に何らかの経路を通して当地に何人か無症状感染者が居て、そのウィルスが会場に集った人たちに感染したかもしれないとのことです。現に1月末ごろから新コロナの症状に似た肺炎患者を見かけるようになったそうですがその時点ではご存知の通りこのウィルスはアジアでの流行であるとの認識であったため見逃されていた可能性もあります。

1歳未満の乳児も犠牲になりうる

また、今日はアメリカで1歳未満の乳児が新コロナウィルスに感染した結果、死亡したとのニュースも流れました。

一般にウィルスの遺伝子は人から人に感染して拡散していく中で随時変貌し、元々の性質をも変えて行くらしいです。

先にアウトブレイクした中国の情報などからでは<年配者には強烈なダメージが起こるが若い層にはほとんど影響がない、お年寄りに移さないように思いやりをもって行動を>と言われ続けていましたが、そろそろその認識も過去のものになりそうです。

 

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