話せるのに読めない、そして書けない

このブログは日本語で書いています。

もちろん読んでいるあなたは外国語として日本語を学習している人ではない限りこのブログの文章が読みにくいかどうかは別としてすらすら読めます。
また、コピーとペーストでは無くそっくり真似をしてPCで入力したり手書きで書くことも出来ますし同じようなものを書くこともやろうと思えば出来ます。

私達は上記については母国語の中で育って生活していれば自然に身につくものの様な気がしています。学校で教わったから、と言う人はほぼいないでしょう。

これが現代の日本人一般です。

目次

illettrisme:ネイティブでも読み書きが出来ない

おそらく新学年が始まるからでしょうか、9月に何度かフランスのTVニュースで取り上げられていたのですが衝撃的な話題がありました。

フランスで生まれ育ったフランス語のネイティブスピーカーで、会話では全く問題がない喋りなのに字が読めない、更に書けないという困った問題を抱えた人々が存在するという事です。

これはもう単語のスペルレベルにまで行くお話ですが、言葉としての文を組み立てられないとかいう事ではありません。なぜなら口頭では正しく伝わる文章を頭の中で組み立ててきちんとした大人の話し方で喋ることが出来ているのです。

さて、今フランスではなんとこの様な人たちがおよそ250万人存在するらしいのです。

道路標識や品物のパッケージ表示も理解出来ない大人たち

44歳のこちらの男性は学校へはほとんど通わなかったために読み書きが出来ません。

http://www.francetvinfo.fr/replay-jt/france-2/13-heures/temoignage-vivre-sans-savoir-lire_2367787.html 

フランス北部の小都市にお住まいですが、街に出ると看板どころか道路標識も理解出来ないので迷ってしまいます。街では本当にハンディキャップ状態です。

フランスの地方では公共交通機関が少なく、就職のためには通勤のため運転免許が不可欠に近い存在なのでかつて教習所へ通うことも考えたのですが、字が読めないので断念しました。
彼は農家の四人兄弟の長男で、家業の農場の手伝いのため学校には少ししか通わなかったので読み書きが出来ないまま大人になってしまったのです。

「読み書き出来て計算が出来、ATMの表示を理解して自分でお金を引き出したり、自分自身で書類に記入出来るようになりたいのです」

最近、ある非営利の市民団体で週3回開かれている読み書きの講座に通い始め、家庭的な雰囲気の中少しずつ読み書きが出来るようになり、大変喜んでいます。
この地元の市民団体では年600人程の同じように読み書きが出来ない成人を受け入れているそうです。


この女性は書いてある説明書きが読めず店に行っても自分で商品を選べません。

http://www.francetvinfo.fr/societe/education/illettrisme-ces-adultes-qui-choisissent-de-se-battre_1818797.html

彼女はスーパーに行ってもいつも同じ物を買う、または人にパッケージに何が書いてあるかを尋ねていました。
幼いころ学校が嫌いで中学に上がる前ドロップアウトしてしまったのです。

ずっと専業主婦をしていましたが離婚後、自分自身で生活を続けていくために読み書きの講座を開いている市民団体を知り、2年前から通い続けています。
今は同じ講座に通う若い仲間たちと一緒に美術館へ行ったりする交流等を通じて少しずつ”書いてある事がわかり、書く事も出来る”世界を広げつつあります。

読み書きが出来ない原因は?

上記のお二人は学校に通わなかったために読み書きを勉強できなかった人たちです。日本ではほとんど無い事例ですね。
こんな人々がかなり存在するのがフランスです。私も初めはちょっと信じられませんでしたが、先日うちのダンナが近所のスーパーで30代半ばの男性にパッケージに書いてある事を読んで説明して欲しいと声をかけられたそうです。話し方はしごく普通の大人のフランス人で丁重な態度だったとの事ですが、この方も上記の様なケースかと思います。

しかしこれとは別に移民でフランス語が全くわからない人たちも実際に沢山居ます。これは当然ですけれども。 😥
ご存知の通り今は滞在許可希望者に無料で講習を受けさせているのが現状、これは上記の”喋れるけど読み書きが出来ない”とは違いますね。

さて読み書き出来ない原因には次の3つに分かれるということです。識字出来ない状態にも種類があるのですね!
*一応このブログはフランスブログですので見出しは仏語で表します。

  1. L’illettrisme リレトズム 勉強していないため識字出来ない
    上記の2人はどちらも学校へほとんど行かなかったために読み書きが出来ないのですがこれらはこちらにあたります。
    おそらく易しい単語か文ならわかるという人もいるでしょう。読み書き出来ないのですがネイティブ言語なので流暢に大人の話し方で会話は出来ます。
    但し、書物や高等教育で習う難しい単語を用いることは出来ないはずです。
    日常会話レベル、ということです。
  2. L’analphabétisme  ラナルファベチズム  まったくの文盲
    主に発展途上国などでまったく学習の機会が無く文字を見たこともない様な場合。
    または該当言語を全く知らない場合。例えば私がタイへ行って初めてタイ語に触れた場合、タイ語に対してはこの状態になるのでは?(もちろん話すことも聞き取ることも無理。)
  3. La dyslexie  ラ・ディスレクシ  ディスレクシア、機能的障害
    これは今回初めて知りました。生れつきの障害の一つで勉強しても脳に機能的な障害があって文字等を意味とつなげることが出来なかったりします。
    ただ、知能が低いのではなく、いわば難聴や近視遠視と同じ様な機能的なものなので、知的・芸術レベルで偉大な仕事を成し遂げた人物が以外とこの障害を持っていたりします。

La Cérémonieという映画

さてサンドリン・ボナールとイザベル・ユペール主演の、1995年制作フランス・ドイツ合作映画、La Cérémonieという映画がありました。この映画は日本に居た頃は全く知らず、フランスで観たので日本語の題名「沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇」は今日知りました。

日本語の題名、「沈黙の女・・・」はあまり的確では無いと言うのが私の受けた感じです。
「セレモニー」と原題のカタカナ書きではいけなかったのでしょうか???

同年のヴェネツィア音楽祭・96年セザール賞で主演の女優、ユペールおよびボナールが賞を勝ち取ったのですが、この作品は英国の作家の小説を基に作られ、読み書きが出来ないことをひた隠しに隠しているメイドが主人公になっています。映画では読み書き出来ない理由は重要なポイントではないのか、詳しく語られてはいないのでこのメイドは上記のどれだったのかな、と思って色々調べたのですが、紹介している国によって表現がまちまちです。

まず日本語では3番のディスクレシア。日本ではいくら不登校でも商品パッケージが読めない人なんてまず居ないですから、こうなったのでしょうか。つまりメイドは文字がどうしても意味するものに見えないという生まれついての障害を抱えている不幸な女性、という見方。

次に英語。この映画の原作は英語で書かれているのですが英語では1番のリレトリズムで紹介されています。
そしてフランス語ではなんと2番のラナルファベチズムとかいてありましたが、このシチュエーションでは違うとは思うんですが・・・。フランスではL’analphabétisme L’illettrismeとはよく混同されて使われているようで、こうなったのでしょうか。

しかし、日本人には最も遠いと言われる識字不能者ですが、<文明国>フランスには現実に存在しその人数も意外と多いのですよね・・・・・。

日本人にも識字不能をはじめ計算等が出来ない人たちが・・・!

しかし、つい最近テレビでショッキングな現実が。日本人にも同じ様な人たちが出て来たのです。フランスからすると人数の桁はだいぶ違いますが。

NHK クローズアップ現代+
ひらがなも書けない若者たち ~見過ごされてきた“学びの貧困”~ - NHK クローズアップ現代+
ひらがなも書けない若者たち ~見過ごされてきた“学びの貧困”~ - NHK クローズアップ現代+2017年11月2日(木)放送。憲法が保障する「教育を受ける権利」。国は、日本では読み書きできない人はいないとしてきたが、教育現場の声やNHKの取材で、いまの若者の中に小中...

・・・皆さん若者世代ですが、それだけ世の中が以前とは変わって来ていると言う事ですね。

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